24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~

 少しずつ近づいてくる立花の瞳に囚われる。
 鼓動も、距離がなくなるにつれてボリュームを上げ、速度を増していく。

 車に当たる雨粒の音が大きくなった。
 ほんの少し雨の匂いを感じるとともに、白檀の香りがふたりを包みこむ。

 鼻先がくっつく寸前で、彼は音もなく目を閉じ、その長いまつげで端正な顔に影を作った。

 どうしようかなんて考える間もなく、伊鈴はかちんこちんに凍りついたまま、なんとかまぶたを下ろす。
 キスをしたいとも思っていないし、雨が止むまでのデートに淡い期待もしていない。

 だけど、雨の街から隔離された車内のサイレントに予感するのは――。


「俺に夢中になれ。悲しいことなんて全部忘れられるから」

 唇が触れたのは、涙が走った頬。


「ほら、泣きやんだ」

 片腕で伊鈴をそっと抱き寄せた立花は、彼女の耳元で蠱惑的に呟いた。

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