24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~

 自分でも分かるほど熱い頬を両手で隠す。

「わがまま言えるよね?」
「そんなすぐには見つかりません!」

(もう! 立花さんっていたずら好きなの!?)

 自分から湯気が出て窓が曇っているのではないかと思うほど、身体が火照る。
 立花は、空調を調節してから車を出し、あてもなく走り出した。


「本当になんでもいいんですか? 立花さんが困るだけかもしれませんよ?」
「いいよ、困らせてみて」

 余裕たっぷりに返す立花は、伊鈴を一瞥してふっと微笑む。


「あとで、フレンチが食べたいです」
「うん、他には?」
「えーっと、あとは……」

 助手席でうーんと唸りながら、懸命にわがままを探す伊鈴に、立花はますます心躍らせた。

 さらに伊鈴がぶつけてきた我儘は、どれもこれも容易く叶えられることばかりだった。
 綺麗な景色が見たいとか、洒落たカフェで話したいとか、特別ワガママだとは思えず、別れた男とどんな付き合いをしていたのかと首をひねる。
 フレンチだって、特別な日なら連れていくのも悪くない。

 しかし、「雨が止んでも一緒にいてほしい」とは言ってもらえず、仕方ないかと心の中でため息を漏らした。

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