略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
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 今週中に終わらせようと立て込んでいた新規受託の書類整理に没頭していたら、いつの間にか定時を越えていた。

 気がつくと、窓口部門は一日の締めを終えていて、行内のフロアに残る同僚はまばらだ。

 そういえば理子は、これから医療関係者との合コンだと言って、定時ちょうどに帰っていったのを思い出した。

 美郷も定時で帰るつもりだったが、その必要はなくなった。

 週末だというのに、これといった予定がなくなってしまった美郷は、慌てることなくキリのいいところまでで片付けに入った。

 不急な業務で定時を30分も超えてしまっては、総務課からチクチクと小言を言われる。

 それだけは避けようと、散らかしていた書類を一件一件クリップでまとめて、週明け分の決裁へと回す。

 自席を片付けて通用口に向かい、行員証のICで打刻を打ったのは18時半ちょうどだった。

 最後まで居残る営業本部長に挨拶しようと戻ったところで、一本の電話が入った。
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