略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
溜め息を吐いた匠海の方を見られずに、フォークを握る手に力が入る。
だめだとわかっているのに、誤魔化しなんて通用しなさそうな匠海の目にほだされる。
「美郷」
しっかりと名前を呼ばれて、匠海に隠し事なんて許されない空気に、美郷はついに耐えきれなかった。
「匠海さんが普通じゃないのかなって、思いたい自分がいるんです。
匠海さんみたいに、他の女性との時間は必要ないと思ってくれる男性の方が、稀なのかなって」
匠海だけが珍しい種類の男性なら、婚約していても他の女性と出かけるのは普通のことだということになる。
男の人はそういうものなのだと納得出来る理由が欲しかった。
それでも自分が幸せになれるのなら。
「……ああ、そういうことか」
全部を話していないのに、匠海はすべてを悟ったように大きく息を吐いた。
「婚約者さんが他の女と会ってた、と。君はそれを見てしまった、って感じか」