略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~

 その通り、お見事だ。

 何も言えずに、ただこくりと頷いた。

 ひとりで抱えていた不安を匠海が請け負ってくれたようで、フォークを握りしめた手から力が抜ける。


「どこで見た?」

「昨日……妹と行ったカフェで」

「そう。
 相手の女性が、身内か仕事関係の人っていう可能性は?」

「わかりません」


 美郷はうつむいたままかぶりを振った。

 あんな女子だらけの店を接待に使うだろうか。

 やはりどう考えても、あの女性は陽翔と親密な関係にあるようにしか思えない。

 匠海のフォローも、あの二人の雰囲気には敵わなかった。


「聞いてみた? 婚約者さんに。相手が誰なのか」

「いえ……」

「まあ、怖くて聞けないよな」


 少し離れた距離に座っていた匠海が、美郷の方に身体を向けた。

 自分だけに向けられる匠海の意識に、緊張と羞恥を誘われ肩に力が入る。


「それ、他に誰か話した?」

「いえ……誰に聞けばいいのか、わからなかったので……」

「そうか。
 ひとりで抱えてたんだな。辛かったろ」


 そう言われて、美郷はふっと顔を上げた。
< 102 / 241 >

この作品をシェア

pagetop