略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
それまでが本能にせっつかれていたのだとわかる匠海は、ようやく気を落ち着けたようだ。
匠海の口唇が額に優しく触れると、穏やかな恥ずかしさに頬がくすぐったくなる。
目を合わせずに広い玄関で靴を脱ぎ、匠海に手を引かれるがまま自宅へと上がってしまった。
T字に分かれる廊下の突き当たり、ドアを開けた先は広いリビングだった。
奥には冬の水色の空が天井まである大きな窓に広がり、床の広さを邪魔しないソファとローテーブルがあるだけの開放感溢れる部屋だった。
「コーヒー淹れるから、座ってて」
「い、いえ、お構いなく……」
「俺が構いたいんだよ」
ふっと目を細める匠海の柔らかな表情に、胸は否応なしに高鳴る。
誘導されたソファに座ると、繋いだ手の甲に音を立ててキスをした匠海に、どきどきは急かされてばっかりだ。
なんだか浮かれているような匠海の背中を見送って、借りてきた猫のようにお行儀よく座って待つ。
異性の部屋というだけで好奇心が疼きだそうとするけれど、きょろきょろとしていては下品だ。
薄い雲をはべらせる空を見やって、なんとか緊張を落ち着けようとした。