略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
高い空を眺めていると、次第に冷静さが戻って来た。
仕事が手につかないからと半強制的に早退させられて、自分は何をしているんだろうか。
理子が事を大げさにするから、匠海に余計な心配をかけてしまった。
けれど、それは匠海が美郷を大切に想ってくれているからこそだとわかっていた。
初めて異性からそんな風に扱われて、酷く戸惑ってしまう。
それなのに自分は匠海に何もしてあげられない。
彼の気持ちに応えられない。
それがとても辛くて、ときめきに凪いでいた胸に、ずきりとした痛みが走った。
自分には婚約者がいる。
どんな人なのか、どんな声で話をする人なのか、どんな顔で笑う人なのか、知らない相手だ。
匠海のように、美郷を大切にしてくれるんだろうか。
匠海のように、美郷への想いを切に伝えてくれるのだろうか。
他の女性といた婚約者の姿を思い出して、美郷は堪らなく哀しくなった。