略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
ふにとした柔らかさに目を丸くしたのは匠海の方だった。
ぐっと匠海の胸元を押しやると、据わった琥珀の瞳が疎まし気に美郷を見つめた。
「美郷」
「ごめんなさい……」
「会ったこともないやつに操立てるのか」
今さら、と言われればそうなのだけれど、まだ引き返せるところにいるから。
「匠海さん、これからお客様との約束があるんじゃ……」
「話すり変えるな。俺は今、美郷の話をしてる。それに時間ならまだだ。
ここに連れてきたのも、少しでもいいから美郷といたかったからだ」
熱い眼差しで言われたから、たまらなく胸がきゅんと啼いた。
これ以上、匠海に婚約者との違いを見せつけられたくないのに。
美郷の気も知らない匠海は、美郷の腕を引いて抱き寄せる。
「このまま他の男と結婚するつもりなのか」
匠海には、美郷の揺らぐ心が読み取れるんだろうか。
まるで、匠海への気持ちを膨らまさないようにしている美郷の心が見られているようだ。