略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
美郷を優しく抱きしめぽんぽんと頭を撫でてから、匠海は低く呟いた。
「俺のこと、好きになってほしい。美郷に哀しい思いなんて絶対させないから」
きゅうっと苦しく胸が啼く。
匠海のあたたかさに包まれて、匠海が言うようにずっとここに居られればと思う自分の心に熱を感じた。
自分の気持ちに触れようと顔を上げると、掌を触れる匠海の懐からスマホがピリリとコールした。
「ごめん」と小さく謝る匠海から、おずおずと身を引く。
匠海の熱から離れきちんと座り直したことで、冷静さが戻って来た。
とてつもなく恥ずかしいことをしてしまった背徳感に、胸がいたたまれなく動悸に乱れる。
「はい、結城です」
今までの甘さを含めた声とは違う、きりっとした凛々しい声音。
目の前で、顧客と話しているらしい匠海の姿に、どきどきが急かされる。
何度も見てきたはずなのに、今はいつもよりもずっと頼もしく……素敵に見えた。
「……はい、承知いたしました。ええ、そうですね、16時には伺えると思います。はい、それではのちほど」
これからのアポイントの件だったようだ。
このまま閉じ込められておくわけにはいかなくなったらしい。