略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~

 日曜のお昼前。

 美郷は匠海のマンションの近くの駅に降り立った。

 駅構内でやっていた有名老舗和菓子店のフェアが目につき、匠海への手土産にと数量限定商品と銘打たれた和菓子を買った。

 11月の半ばでも天気は良く、少し襟元の広がったブラウンの緩いニットでも寒くはない。

 背の低い美郷がちょっとだけ頑張った黒のパンプス。

 ゆるく纏め上げた髪と相まって、気持ちも幾分背伸びしている気がする。

 グレンチェックのミディスカートを蹴ると、バッグの中でスマホがメッセージを受信した。


【駅、着いた? 場所わかるか?】


 匠海からの心配のメッセージだ。

 いつも会社には電車で通勤しているし、この間愛結と出かけた時だって電車だった。

 それなのに、まるで初めてのおつかいにでも行くかのような心配を、匠海は昨日からたくさんしてくれていた。

 当初、家の近くまで車で迎えに来ると言っていた匠海だったけれど、休日の昼間の明るい時間だと、誰に見られているかもわからないからと、美郷は丁寧に迎えを断った。
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