略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~

 緊張に身体をぎこちなく進めながら、広いエントランスへ進む。

 しばらく待ち二台のうち到着したエレベーターに乗り込もうとすると、もう片方の扉も開いた。

 これだけ大きなマンションだから稼働は忙しないのだろう。

 【12】のボタンを押し、気をつけの姿勢で閉まりゆく扉の向こうを見送ると、隣のエレベーターから降りてきたらしい女性の後ろ姿が目に入った。

 長い髪のモデルのようなスタイルの女性。

 見覚えのある淡いピンクのコートが、閉まる扉に隠されていった。


 え……?


 顔は見えなかった。

 それなのに、上品な雰囲気とあのコートが、陽翔といた女性を思い出させた。

 心臓がどくりと嫌な音を立てる。


 違う、よね……同じ服持ってる人ならごまんといるはず……。


 そもそもあの女性がこのマンションから出てきたからといって、どうだというのだ。

 美郷に何か関係があるわけではないし、見えない不安を煽られるような理由も見当たらない。
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