略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
――――『俺はもう、そいつとは結婚させないつもりだから。 美郷は俺がもらう』
いっときの夢であったとしても、それを見させてくれる彼の想いの熱さに、胸が焦がれる。
無くす淋しさを考えるより、今は優しい笑みで両手を広げてくれる彼の胸に飛び込みたかった。
彼に会いたいと思う自分に戸惑い恥ずかしく思いながらも、フロアに足を踏み出す。
すると、どこからかほのかにブーケの香りがした。
花など活けてあったかと進みながら見回したけれど、あるのは観葉植物だけだ。
気のせいかと思いながらあっという間に辿り着いた扉の前。
つい先日ここに来て、中に引き込まれた途端に奪われた口唇の熱さを思い出してしまった。
きゅうっと息苦しくなるほどに胸が締めつけられる。
インターホンに伸ばす指がふるふると震えた。
『はい』
「あっ、乙成ですっ!」
『すぐ開ける』
待ち構えていたかのように即座に応答されて、返した声は妙に張り切ったものになった。