略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
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 約束の日曜日。

 年の瀬も迫れば気候はすっかり冬仕様で、駅に降り立った美郷はベージュのトレンチコートをかき抱いた。

 手に持つ白い箱の入った袋には、自宅の近くのケーキ屋で買った小さなカップのチーズスフレが入っている。

 数量限定商品を買うために早めに家を出たら、いつもよりも小一時間早く匠海のマンション近くの駅に着いてしまった。

 明日のクリスマスイブも一緒に過ごすと約束しているのにもかかわらず、少しでも長く匠海と居られる時間を得ようとしているみたいで気恥ずかしい。

 いつもの時間まで別の場所で暇を潰そうかと思ったけれど、早く行けばその分匠海との想い出がたくさん残せる。

 彼との時間を少しでも増やしたいと思っている自分の心に、軽く吐息を零した。

 そうやって安らぎのひとときを過ごせる休みはあと何度あるだろう。
 
 限りのある時間を惜しむように、美郷は匠海のマンションまでの道のりをのたのたと歩いた。
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