略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
あれだけ気配を殺していたのに、握りしめた袋ががさりと音を立てた。
美郷の気配に気づくふたりが振り返る。
ここまで胸をときめかせてやって来たことも、匠海の甘い言葉に浮かされていたことも、ただただ恥ずかしい。
背筋を伸ばしてふたりの元へずんずんと歩みを進める。
「美郷」
匠海が驚いたように扉の陰から覗いてくる。
その彼としっかりと目を合わせてから、目の前に立った。
玄関扉のそばに立つ匠海の姉に身体を向け直して、お辞儀をした。
「初めまして、お姉さん。匠海さんには、いつもお世話になっております」
姉は美郷のことを知っているようだったから、名乗ることはしなかった。
この人も匠海から美郷の話を聞いて、虎視眈々と婚約解消を目論んでいたのかと思うと、自分だけが踊らされているような気がして、酷く惨めな気持ちになった。
「美郷、早かったな。紹介してなかったけど、姉貴の……」
「はい、今聞きました。匠海さんのお姉さんですよね。……陽翔さんとお付き合いされてる」
美郷が匠海の言葉を遮ると、琥珀の瞳は驚きに目を見開いた。