略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~

 美郷が手に持っていた袋を匠海に押しつけると、反射的にそれは受け取られる。

 一緒に食べようと思っていた楽しみも、自分だけがそう思っていたことだったのかと思うと、惨めさに拍車がかかってしまう。


「みなさんの思惑通りなんでしょうか……これで」

「え?」


 ぼそりと呟くと、匠海は聞き取りにくかったのか疑問を返してきた。


「私が匠海さんのこと好きになれば、そのことを引き合いにおじいちゃんに掛け合って、陽翔さんとの婚約は無くなるんですよね?
 それで、陽翔さんとお姉さんが無事にめでたく結ばれるんだったら、私はお役御免ってところでしょうか」

「美郷、何言って……」

「それならそうと、早く言ってもらえればよかったのに。
 こんなに匠海さんのこと好きになって、自分の気持ちどう処理したらいいかわからないじゃないですか。私恋愛初心者なのに」


 一思いに感情を吐き出し、自分を惨めさの中に突き落としてしまわないよう必死に笑みを浮かべる。
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