略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~

「残念です。いつかは匠海さんとの時間もなくなるときが来るんだろうなって覚悟はしてましたけど、まさかこんなに早くなくなっちゃうなんて……まだ心の準備できてなかったのに」

「美郷、違う。話聞いて」

「なんとなく状況は察してますから、大丈夫です。単純な私でもそんなに空気読めない人間じゃないですので。
 それでは私はこれで。今までありがとうございました。楽しかったです。さような――――」


 涙も出ない笑った口元で別れの挨拶を済ませようとした美郷を、匠海が強く抱き寄せた。

 自分でも驚くほどつらつらと零れた言葉を止めさせたのは、匠海の口唇だった。


「あらあら」


 眉間にしわを寄せた匠海の目元を見つめる美郷の後ろで、姉が楽しげに驚く声が聴こえた。

 合わせられた口唇が匠海のあたたかさを伝え、高ぶっていた感情が一時的に鎮められた。
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