略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
生まれてこのかた24年間に誰かに想いを伝えるなんてしたことがない美郷に、あえてそれを言わせようとする匠海は意地悪だ。
少しでも逃げようと目を逸らしても、顎を掴まれて無理矢理顔を突き合わせられる。
「匠海さんは……」
「ん?」
「どうして、話してくれなかったんですか……陽翔さんには相思相愛の恋人がいるって。私だって、それを知ってれば婚約のことくらい……」
「ずっと、美郷が陽翔のこと、好きなんだと思ってたから。
陽翔と姉貴のことを知ってたからって、美郷にそれを伝えて、美郷が傷つく姿を見たくなかったから。辛い思いさせたくなかった」
真っ直ぐに瞳を突き合わされ、嘘偽りのない真摯な思いが美郷の胸を貫いた。
私の、ため――――?
匠海の姉が言っていたのはこのことだったのかと、匠海を映す視界が揺れる。
「もっと早くに美郷が陽翔と会ったことがないって知ってたら、俺ももっと積極的に美郷のこと口説いてたよ。あいつに美郷のこと渡すつもりなんて、少しもなかったから」
胸をときめきで締めつける琥珀の瞳がゆっくりと迫る。
無理矢理ではない口づけに、美郷は瞼を下ろした。