略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
 婚約者をかばうような物言いが気に喰わなかったのだろうか。

 匠海の方から切り出してきたのに、不機嫌に聴こえる声音になぜか罪悪感を覚える。


「じゃあもう、これで上がり? 残業させたお詫びに、軽くご飯でもご馳走させてくれないか?」


 美郷の気持ちを汲んだのか、さっきの目元の怖さとは違ういつものふわふわとした軽い声が降ってきた。


「ご飯、ですか……?」


 怯えた子犬のように恐る恐る上目遣いで匠海を見上げる。


「うん、デートしよう」

「で……ッ!?」


 やっぱり軽い直球な言葉に、美郷は思わず顔を上げ目を見開いた。

 自分には縁遠いものだった言葉が、美郷の顔を瞬く間に急騰させた。


「そ、そんなっ、つ、付き合ってるわけでもないのに……!」

「じゃあ付き合おうよ、俺達」


 さらっと至極当然のように宣う匠海に、美郷は顔の火照りを鎮められない。


「だ、だから、私は婚約していてですね……っ」


 これまで何度も何度も伝えてきた。

 それなのに、相変わらず目の前の匠海はどこ吹く風で、にこにこと微笑むだけだ。
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