略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~

 これまで会わなかったことも、恋人がいるからだったのだとわかるから。

 この婚約がなかったことになっても、お互いに悪い話ではないはずだ。


 十数分のドライブは、これからの段取りを組む佐藤代理の意気揚々とした話であっという間だった。

 仕事として赴いたのは【U&K百貨店】の地下駐車場にある社員通用口。

 佐藤代理の車から降りたところで、後ろから続いてきた白いハイブリッド車が静かに停められた。

 見慣れた車に、胸が急く。

 すぐに降りてきた長身の彼のスタイリッシュなスーツ姿に、思わず目がハートになってしまった。


「お疲れ様です、代理。ご足労いただきありがとうございます」

「こちらこそ、いつもいつもお世話になって」

「代理の人望あってこそですよ」


 ふたりの和やかな挨拶を見ていた美郷に視線を寄越した匠海に、慌てて頭を下げた。


「お、お疲れ様です!」

「お疲れ様。乙成さんも、今日はわざわざありがとう」


 いつもの営業用の笑顔なのに、いつも以上に輝いて見える。

 恋とはときに、麻薬のような効果をもたらすらしい。
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