略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~

 ぽうっと素敵な笑顔に見惚れかけてはっとする。

 自分の方が匠海の登場に胸を逸らせてどうする。

 サプライズのお返しのはずだったのに、彼の余裕のある笑顔に美郷の方が浮かされてしまった。

 今日は仕事で来たのだとシャキッと気合いを入れ直し背筋を伸ばしていると、通用口のエレベーターからすらりとした美女が現れた。


「お世話になります。お呼びだてしてしまって申し訳ありません。総支配人の秘書兼経理をしております、結城と申します」


 現れたのは格子柄のワンピーススーツを着こなした匠海の姉だった。

 手入れのされた爪を光らせ名刺を差し出してきた優花梨からは、仄かにブーケの香りがした。


「結城優花梨(ゆうきゆかり)さん? もしかして、結城グループの……」


 名刺を受け取った佐藤代理は、驚いてぺこぺこと頭を下げる。


「はい、会長の次男の娘です。匠海がいつもお世話になっております」

「ああ、お姉さんでしたか。存じ上げずに申し訳ありません。こちらこそ、弟さんにはいつも贔屓にしていただいて」


 美郷に視線を移してきた優花梨は、にこりと上品に微笑んでくれた。
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