略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
「美郷ちゃんも、この前はきちんとしたご挨拶できなくてごめんなさいね」
「い、いえ、とんでもないです。こちらこそ恥ずかしいところをお見せしてしまって……」
さすがは財閥の令嬢だ。
美郷も乙成の名に恥じぬよう丁寧な所作を心がけては来たが、見てくれの美しさも相まった優花梨の上品さには到底敵わないと思った。
「こんなところで立ち話していると総支配人に怒られてしまいますので、ご案内致しますわ」
カツンと黒のピンヒールを鳴らしてエレベーターへと振り返る優花梨。
彼女の後について、佐藤代理が続く。
「乙成ともお知り合いとは、やはり財界の繋がりというものは複雑ですな」
「美郷ちゃんとはつい最近お話させていただいたんです」
他愛ない世間話をするふたりに続いて足を踏み出すと、匠海が美郷の頭をぽんと撫でた。
「お前が来てくれて嬉しかったよ」
美郷を追い抜きながら、囁くように言った匠海。
はたとして顔を上げると、すれ違いざまに見せられたとびっきりの笑顔に胸がたまらなくきゅんとした音を立てた。