略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~

「成京銀行さんには私もご縁がありまして、この度そちらにお任せしようと思ったんですよ」


 陽翔が目を細めて口角を上げる。
 
 佐藤代理に倣って美郷も名刺を差し出すと、陽翔は初対面の美郷と目も合わさずにそれを交換した。

 心臓がどくりどくりと大げさに脈を打つ。

 初めて顔を合わせたのに、陽翔は美郷を見ようともしなかった。

 そもそも美郷が婚約者であることに気づいているのか怪しいくらいの素振りだった。

 着席を促されるとすぐに、優花梨がコーヒーを四人分持ってきた。


「今回お話を差し上げましたのは……」


 香ばしい香りになぜかリラックスできないまま、早速話が進められる。

 わざわざここで、婚約者同士が初めましてと挨拶をするのはおかしいだろう。

 業務として来ているのだから、全く美郷のことに触れられないのは当然のことだ。
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