略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~

 佐藤代理と匠海は、向かい側の陽翔とスムーズに交渉を行う。

 居心地の悪さを感じるのは、陽翔に美郷の存在をないものとして扱われている気がするからだろうか。

 けれど、時折混じる匠海の声音に気持ちがなだめられる。


「以前提案していたとおりに、こちらの投資についてご検討をいただきたいと思っております」


 落ち着いた柔らかな声。

 仕事用なのに、美郷の耳は彼の声で囁かれる愛の言葉を覚えていて、聞くだけで優しく抱きしめられているようだ。

 ここに匠海がいてくれてよかったと思う。

 陽翔との初対面を美郷ひとりでこなすには、とてもじゃないけれど心の重みに耐えられなかった。


「それでは、そういった形でお願いすることにしましょう」

「ありがとうございます」


 佐藤代理が満面の笑みで、申込書類を差し出す。

 受け取った陽翔は、胸ポケットから出した万年筆でサインを始めた。
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