略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~

「優花梨と関係を終わらせるつもりはない。俺が愛しているのは、あいつだけだからな」


 匠海の苛立ちが、繋がれた掌を通って伝わってくる。

 強く握られた手に一度視線を落としてから、隣に立つ琥珀の瞳を見上げた。

 匠海は美郷のために、話を進めようとしてくれたのだ。

 今日はもう、何の進展もないままだと思っていたのに、美郷の思いを汲んでくれたような匠海の行動に、胸はきゅうっと締めつけられる。

 だけど、陽翔は婚約を解消するつもりはないという。


「じゃあ、美郷は……」

「そのうち籍は入れるさ」

「じゃあどうして、今まで美郷に会わなかった。この先結婚するつもりがあるなら、婚約相手を大切にするのは当然だろう? それなのに……」

「あと1年、この店が4年前より数字の上で大きくなったらな。今はまだ結婚だなんだのに割いてる時間はない」


 結婚するつもりだったのに、会おうとしなかった。

 それは優花梨という存在がいるからだと思っていたのに。

 陽翔が一体どうしたいのか、さっぱりその考えが読めない。
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