略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
「それに、ちょくちょく会って、惚れられでもしたら面倒だ」
面倒――――?
美郷は一瞬、言葉の意味がわからなかった。
それを自分に向けて言われたことだと気づかなかった。
「陽翔! お前……っ!!」
しっかりと繋がれていた匠海の手がいつの間にか、美郷から離れていた。
「美郷をなんだと思ってるんだ!!!!」
気づくと匠海は美郷に背を向け、陽翔に掴みかかっていた。
「相変わらず血の気が多いな。このくらいでかっかするなよ」
「ふざけるなっ!! 美郷がこれまでどんな気持ちでお前との婚約守ってたか知ってるのかよ!!!!」
匠海が掴んだ陽翔の胸倉をぐっと押しやると、それまで飄々としていた陽翔は苦しげに眉を寄せた。
「知るわけないだろ。財界のお嬢様ならのんびりその日を待ってたんじゃないのか? なあ美郷?」
呼びかけられて初めて、陽翔が自分のことを話しているのだと気づいた。
面倒だと言われたのも、お嬢様と馬鹿にしたように言われたのも、美郷を指す言葉だった。