略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
「本当になんでもないのっ。だから、大げさな話にしないで? お願い」


 美郷が懇願すると、愛結は諦めたような溜め息を鼻から吐いた。


「本当に取引先の人ってだけなの?」

「そうよ、それ以外の何者でもないから」

「ふうん……じゃ、そういうことにしとく」

「そういうことなのよっ」


 口を解放しても愛結はまだ疑いの目を細めている。

 やっぱり送ってもらうんじゃなかった。

 まんまと匠海が心配していたような誤解が生まれ、美郷は数十分前の自分を叱咤したい気分だ。


「でもお姉ちゃん。私は正直、その人と付き合っててもいいんじゃないかと思うよ」

「つ、付き合うとかっ。本当にそんなんじゃないんだって……!」

「じゃあ陽翔さんと、このまま結婚することになってもいいの? 相手のこと何も知らないのに? まして、会ったこともない人とだなんて、お姉ちゃんは本当にそれでいいの?」


 美郷を心から案じているとわかる愛結のつぶらな瞳から、美郷はばつが悪く視線を落とした。
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