略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
最上階まで吹き抜けに造られたショッピングビルは、中央にガラス張りエレベーターを備える。
7階建ての建物の基盤である1階フロアでは、大きなもみの木が煌びやかな装飾をまとい、吹き抜けの天井に向かいそびえ立つ。
さすがに日曜日の百貨店は、大勢の客でごった返っていた。
こんなに大きなお店を仕切るなんて、本当に大変そう……。
愛結を見上げるようにエスカレーターで昇りながら、美郷は婚約相手の仕事を気遣う。
そして、なかなか会えない理由も納得だった。
忙しいはずだ。
先月予定が流れたのも、季節のイベントの切り替え前だったからだ。
呑気に食事なんてしている場合ではないし、あのカップルのようなデートすらままならないのも致し方ない。
と、不意に甦る記憶に、エスカレーターを降りた美郷の足は止まった。
あれ? さっきのって…………。
美郷の頭には、ほんの1時間前の光景が映し出される。
甘い匂いが満ちる、あのハイブリッドスイーツの専門店。
そこで美郷の目を引いた、異質な存在感。
それが、さらに過去に置いてきた美郷の記憶と結びつこうとしていた。