略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
匠海の姿を重ねたあの長身の男性。
過ぎった既視感は、匠海のせいだと思っていた。
だけど、それは違う。
あの既視感は、別の人に感じたものだ。
記憶を引っ張りだそうとしていると、突然後ろからどんと美郷のバッグに軽い衝撃を感じた。
「すみません」と通りすがら謝る女性に、意識が引き戻される。
「お姉ちゃんっ、そこ邪魔になってる!」
数歩先を行く愛結が慌てて美郷を呼んだ。
エスカレーターの降り口前に佇んでいた美郷は、申し訳なく愛結に駆け寄る。
「もう恥ずかしいよ、あんな所で立ち止まって」
「う、うん、ごめん」
「どうしたの?」
「いや、えっと……」
愛結に話そうとして、口ごもる。
もしかしたら、愛結にも既視感の理由がわかるかもしれない。
けれど、そうであるかもしれないことが、怖かった。
愛結も美郷と同様、店で見たあの男性に、見覚えがあるかもしれなかったから。
4年前、一度だけ見たあの写真の男性と同じ人だっかもしれないと。
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