略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
「照れちゃって」と肩をぶつけてくる母が言うように、これまで釣書を見てこなかったのは、照れ臭かったからだ。
お見合いをすれば相手のことはわかるだろうし、何度も写真を見せてほしいなどと言って、品なくがつがつしているように思われてしまうのも恥ずかしかったから。
結局これまで婚約者に会えたことは一度もないのだけれど。
正直、大学卒業した時点で結婚が延期になっていたことは、美郷としては好都合だった。
社会人として世に出て働きたいと思っていたし、それがきっかけで先方にも結婚後も外に出ることを認めてもえたようなものだ。
だけど、陽翔さんが今まで会えなかった理由って……
考えれば考えるほど、嫌な予感しかしない。
だけどまずは、あれが陽翔だったかどうかを確かめないことには、その予感も取り越し苦労だ。
自室に戻り、気を紛らわそうと適当な文庫を手に取ってベッドに座った。
【答え】がもたらされたのは、まもなくのこと。
まるで審判のように扉をノックした母の手に握られてきた。