略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~

 忙しい人なんだと思っていた。

 予定していた食事会をキャンセルするほど、休日もままならないのだと。

 疑心から目を逸らすように、瞼を下ろす。

 自分が動揺しているのがわかるから、少しでも落ち着かせようとした。

 陽翔は、多忙な中でも今日はたまたま休みだったんだ。

 そうだ。それなら日曜の昼に街へ出かけることがあっても、何の不思議もない。 

 けれど、なんとか自分を納得させようとする美郷の脳裏には、一緒にいた女性の姿が焼きついて離れない。

 彼女は一体、陽翔の【何】なのだろうか。

 休日があるのなら、先日の食事会の埋め合わせをその日にしてもよかったのに。

 やっと取れた休日を婚約者との顔合わせに当てるのではなく、その女性と出かけていた理由は何なのか。

 美郷はすでにそれがどういうことなのか、薄々わかっていた。

 陽翔に女きょうだいなんていない。


 あの人は陽翔さんの―――――。


 【答え】を導き出そうと緊張に張りつめていたところで、突然、机の上に置いていたスマホが気の抜けた音でピロンと鳴った。
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