略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~

 びくっと肩が飛び上がり、音のした方へと視線を上げる。

 張りつめていた緊張が解かれ、吐き出した息は震えていた。

 メッセージを受信したらしいスマホを確かめようと、踏み出した足はその場に張り付けられていたように重かった。

 なんとか辿り着いた机に釣書を置き、代わってスマホを取り上げる。

 開いた途端に、美郷の胸をきゅっと締めつけたのは、【U&K結城部長】の文字だった。


【おつかれさま、今何してる?】


 匠海に似た丸っこい白くまに、コーヒーを差し出されていて、なんだかほっとする。

 不意にもたらされた和みに、自然と口元が緩んだ。

 すでに日課となっているメッセージは、美郷の楽しみのひとつなのだと今はっきり思った。

 だけど、この時間は限りあるひと時なのだ。

 結婚してしまえば、いつかは無くなってしまう。

 いや……違う。

 そもそも結婚前に、婚約者がいる身でこんなことをしていてはいけなかった。
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