略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~

 今日見た陽翔の姿が、焼き付いた頭にずしりとした重みを乗せる。

 机の傍らに立ったまま、手の甲で項垂れる額を支えた。


 どうしよう―――――。


 なかなか顔合わせができないことも、結婚が先延ばしになっている理由も、恐らくあの女性がいるからだ。

 とてつもなく高い確率で、あれは陽翔の【恋人】だろう。

 【答え】をはっきりさせると、思わず溜め息が出た。

 陽翔は端から、美郷と結婚する気はなかったのではないだろうか。

 だったらなぜ婚約したのか。

 考えれば考えるほどますます頭が重くなる。


 どうするの……

 このままずっと、結婚まで話が辿り着かなかったら。

 あちらのご両親は、今日のことご存知なのかしら……。


 両親に尋ねてみようか。

 いや、それはダメだ。その事実を知らなかった場合に、相当なショックを受けるに違いない。

 本人に確かめられればいいのだろうけれど、美郷は陽翔の連絡先を知らない。

 百貨店に乗り込む手もあるにはあるが、それではあまりに品がなさすぎる。
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