略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~

 誰に真実を確かめればいいのかわからず、どうすることもできない事態に、佇んだままの美郷の手中でまたスマホが振動した。

 開きっぱなしだったアプリは勝手にメッセージを表示する。


【例のスイーツ専門店、どうだった?】


 昨夜伝えていたことを匠海は律儀に話題にしてくれる。

 昨日までは、匠海からのメッセージにも、緊張しながらも返信していた。

 けれど、陽翔と同じことをしているかもしれない自分の所業は、今日婚約者である彼を見かけて、はっきりやってはいけないことなのだとわかった。

 いくら匠海にしつこく言いくるめられても、線引きを怠ってはいけなかった。

 一度許してしまうと、匠海との境界線が曖昧になる。

 それからの関係がどうなってしまうのかなんて考えもせずに許した見返りは、きっと美郷ひとりでは抱えきれないような事態になることだろう。

 婚約相手の家からどんなふうに思われるか、万一婚約破棄にまで話が膨れ上がってしまったら、乙成家の品格まで疑われかねない。
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