略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
『何、居留守でも使おうとした? 出なくてもいいとは言ったけど、やっぱりショックだなぁ』

「すみません、そういうわけではなくて……」

『俺は美郷ちゃんの声聞きたくてしょうがなかったのに』


 要領の悪い自分を激しく呪いながらも、いつもの調子の匠海に不安に震えていた心がほかほかと温まる。

 恥ずかしさに動揺しながらも、胸のときめきに気付かないふりはできなかった。


「匠海さん……」

『うん?』


 匠海はこうやって美郷の声が聞きたいと言って、ほんの少しの時間でも電話をかけてくれる。

 この間だってそうだった。

 食事が無理なら、自販機のコーヒーでいいだなんて。

 その気があるなら、5分でも10分でも、親交を深める時間を作れるものなのだと、匠海に教わったようなものだ。


「本気で会おうと思えば、きっと、いくらでも会えるんですよね……」

『え?』


 陽翔が忙しくて会えないというのは、“理由”ではなく“言い訳”なのだと気づいてしまった。
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