略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
『美郷ちゃん?』


 堂々巡りだった疑問が、今度は悪い方へと転がっていく。

 陽翔は少なくとも、美郷に“どうしても会いたい”とは思ってくれていないのだろう。


『どうした? 俺に会いたくなった?』

「えッ!? ど、どうしてそういう話に……っ!?」


 落ち込んでいく美郷を容易く引っ張り上げたのは、匠海の素晴らしく自意識過剰な勘違いだ。


『だって今、会おうと思えばすぐに会えるって』

「私そんなこと言いました!?」

『言ったよ。だから俺に会いたいのかって思って。
 俺も会いたいよ、今すぐ美郷に』

「そうではなくてですね!? 私は陽翔さんに……」

『陽翔……?』


 聞き返されて、美郷ははっとして口を噤んだ。

 考えすぎていたことが、動揺につつかれて思わず飛び出てしまった。

 匠海がそれを聞き逃すはずがなかった。


『ああ婚約者に会いたいんだ? それはそうか、婚約しているんだもんな』


 明るく言ってくれるものの、その声の後ろには淋しさが見えた気がした。
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