略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~

 会社から徒歩で5分程度の立地の店は、前に理子と来たことはあるが、3階の貸切テラスは予約がないと入れない。

 そこにわざわざ連れて来られて、しかも注文もしていないのに着いた早々料理が出てきたところを見ると、匠海は最初から美郷と話をするつもりだったのだと察せる。


「本当に、すみませんでした……」

「いいよ、そんなに謝らなくても。今日は顔見られたし、よかったよ。
 俺、今度こそ嫌われたと思ってたから」

「そんなことないです……っ!」


 つぎ分けてもらった皿を受け取りながら、美郷は思わず前のめり気味になった。

 ぱちぱちと瞬いた匠海は、すぐにふわりと微笑んでくれる。

 ちっとも怒っているようには見えない匠海の表情に、安堵とともに、心の奥からぶわっとしたときめきが湧き出した。


「そんなに必死になって、可愛いな。このままキスしたくなる」

「な……っ!?」


 全くそんなつもりはなかったのに、いきなり色めいたことを言われて顔がぼんと火を噴いた。
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