略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
マリネの載った皿を引き取りながら、あとひとり分の距離を空けてさっと座り直す。
その様子を不快に思うわけでもなく、くっくと可笑しそうに笑う匠海から目を逸らして「いただきます」とフォークを手にした。
「心配してたのはほんとだよ。たぶん、図星だったんだろうなって思ったから」
レタスと玉ねぎ、スモークサーモンをしゃくしゃくと頬張り、昨夜の匠海との電話と昼間見た陽翔の姿を思い出した。
「本当は、こんなふうに突っ込んだこと訊くなんて、失礼だってわかってるよ」
それでも匠海は、美郷の不安を感じ取ってくれたのだ。
悟られないようにしていたつもりだったのに。
そんな匠海に、誰にも頼れなかった心が救いを求めてしまう。
「匠海さんは、女性の方とこんなふうに出掛けたりしないんですか?」
さっき理子に言っていたことを、美郷は複雑な気持ちでたしかめる。
匠海であれば、軽々しく女性と出かけたりしないのだと信じたかった。
けれど、そうすれば、陽翔のことはどう解釈すればいいのかわからなくなる。
婚約者がいても、他の女性と出かけられるような“そういう人”なのだと思えばいいのか。