【医者恋シリーズ3】エリート外科医の蜜甘求愛
それは、椎名先生の勤務する病院でだった。
冬の寒い日で、その日は開院する前の訪問だった。
病院の入り口近くが凍結していて、そこをうっかり踏んで転倒したのだ。
膝を擦りむき、その時も今日のように怪我を椎名先生に目撃されてしまった。
『手当てするから、入っておいで』
そう言ってくれた椎名先生は、看護師さんに私の処置をお願いしてくれた。
「よし、いいぞ」
「…………」
「……? おーい。目開けたまま寝てるのか?」
顔の前でぶんぶんと手を振られる。
ハッと意識が戻って、市來先生の顔に焦点が合った。
「あっ、すみません。ありがとう、ございます……」
「大丈夫か?」とフンと鼻で笑う市來先生を目にふと思う。
私なんかの手当て、やってくれるんだ……と。
手の空く時間があるのなら、忙しいドクターは少しでも休みたいはず。
それなのに、さっきは看護師さんに頼まず、自ら診ると言ってくれた。