【医者恋シリーズ3】エリート外科医の蜜甘求愛
ドアを閉めた先生は振り返り、開口一番いきなりよくわからないことを口にする。
部屋の中を見回していた視線を、先生へと向けるために振り返った。
目にした市來先生は、どこか試すような意地悪な笑みを口元に浮かべている。
「え……と、言いますと?」
聞かれた意味がはっきりと掴めなくて聞き返すと、私が抱えるファイルの端にぶら下がっているマスコットのぬいぐるみを手に取った。
「フラれた男にもらったもの、まだ持って歩いてるから」
「えっ、な、なんでそんなこと知って……!」
「初めて会った日に、酔っ払って話してたけど。ご丁寧に取り出して『これはその先生がくれて』って。覚えてないのか?」
全く覚えがない。
プルプルと首を横に振ると、市來先生は小さなため息と共に「この酒乱が」と毒づいた。
でも、その時私がそんな話をしたのは確かなのだろう。
じゃなければ、市來先生がこのぬいぐるみのことを知っているはずがない。