【医者恋シリーズ3】エリート外科医の蜜甘求愛


仕事用のファイルの端にぶら下げている、ボールチェーンで繋がった小さなぬいぐるみ。

これは、以前に椎名先生が私にくれたものだ。

営業で伺った時、椎名先生のデスクに私の好きなネズミのキャラクターのマスコットが置いてあった。

話のネタに『私、そのキャラ好きなんです!』と言ってみると、思いがけず椎名先生は『じゃあ、中条さんにあげるよ』とそのマスコットを差し出した。

コンビニで買い物をしたらオマケでついてきたからと、プレゼントしてくれたのだ。

嬉しくて、いつも持ち歩く仕事のファイルにつけていた。

椎名先生にフラれたあとも外さずつけていたけど、それには特に意味はない。

単につけっぱなしになっていただけの話で、未練があってだとか、決してそういうことではなかった。


「吹っ切れてないとか……そういうんじゃないです、全然。ただ、外し忘れてただけで」

「だったら」


マスコットを手にしていた市來先生は、そこに繋がるボールチェーンをあっさりと外し、ぬいぐるみを取ってしまう。

そして、「もういらないよな?」と言って自分のスーツのポケットに突っ込んでしまった。

< 80 / 110 >

この作品をシェア

pagetop