【医者恋シリーズ3】エリート外科医の蜜甘求愛
仕事用のファイルの端にぶら下げている、ボールチェーンで繋がった小さなぬいぐるみ。
これは、以前に椎名先生が私にくれたものだ。
営業で伺った時、椎名先生のデスクに私の好きなネズミのキャラクターのマスコットが置いてあった。
話のネタに『私、そのキャラ好きなんです!』と言ってみると、思いがけず椎名先生は『じゃあ、中条さんにあげるよ』とそのマスコットを差し出した。
コンビニで買い物をしたらオマケでついてきたからと、プレゼントしてくれたのだ。
嬉しくて、いつも持ち歩く仕事のファイルにつけていた。
椎名先生にフラれたあとも外さずつけていたけど、それには特に意味はない。
単につけっぱなしになっていただけの話で、未練があってだとか、決してそういうことではなかった。
「吹っ切れてないとか……そういうんじゃないです、全然。ただ、外し忘れてただけで」
「だったら」
マスコットを手にしていた市來先生は、そこに繋がるボールチェーンをあっさりと外し、ぬいぐるみを取ってしまう。
そして、「もういらないよな?」と言って自分のスーツのポケットに突っ込んでしまった。