【医者恋シリーズ3】エリート外科医の蜜甘求愛
掴まれた手を引かれて、先生との距離が近付く。
何事かと顔を上げた時には、視線を合わせられないくらい先生の顔が迫っていた。
「可愛くて困る」
その低くどきりとする声は唇を震わせ、そっと口付けを落とす。
ビクッと肩を震わせると、手を掴んでいた先生の右手は私の後頭部に添えられ、もう片方の手は引き寄せるように腰へと回された。
触れただけのキスは唇を食み、一気に全身の熱を上げていく。
持っているファイルと手帳がすとんと手からすり抜けていきそうになって、ぎゅっと抱き締めていた。
まだ誰かも知らなかったあの夜、こうして先生と触れ合った。
とろけ出すと止まらなくなりそうな、奥深くに仕舞っておいた記憶が蘇りだす。
唇の形を確かめるかの甘いキスを終えた先生は、顔を離すとフッと笑って前髪の上から額に口付けた。
「先行くから。その顔で外出てくるなよ」
「えっ!」
火照った顔をした私から手を離し、市來先生は「またな」と一人先に部屋を出て行ってしまう。
外の通路で遠ざかっていく先生の革靴の足音と、バクバクいってしまっている自分の鼓動を聞いていた。