【医者恋シリーズ3】エリート外科医の蜜甘求愛
なななっ、なんてチェックを……!
今更遅いけど、摘まれたお腹をガードする。
今日は薄手のブラウスだから、思いっきり余分なお肉を掴まれてしまった。
最悪……恥ずかしすぎる!
「食べ物の恨みは恐ろしいっていうからなー……」
「そ、そんなことで恨みません!」
「ほんとかよー。いつまでも言われそう、『先生のせいで冷やし中華が〜』とかって」
「だから、言いませんってば!」
そんな言い合いをしていた時、「中条さん」と声をかけられた。
目を向けると、通路の向こうに小さく手を振る椎名先生の姿が見える。
スーツに白衣を羽織って、ここじゃない病院でいつも見てきた姿だ。
「あ、お世話になってます!」
足を止めて頭を下げる。
近付いてきた椎名先生は「ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」とにこやかに言う。
「一番最後でいいんだ、寄ってもらえるかな?」
「あ、はい。わかりました」
そう返事をしたところで、一緒にいた市來先生が「行ってきていいぞー」とその場を去っていってしまう。
「え、でも」
「こっちは大した用じゃないからな」
振り向きもせず、どんどんと距離は離れていく。
「わかりました……」
その返事をした時には、私の声は聞こえないほど遠くに市來先生の白衣の背中が見えていた。