【医者恋シリーズ3】エリート外科医の蜜甘求愛
椎名先生の呼ばれて循環器内科へと出向き、御用聞きを終えると、急いで脳神経外科の外来へと向かった。
タイミングを完全に失ったらしく、訪れた時には診察室には患者さんの出入りがあり、邪魔にならないように待機した。
「先生、すみません、遅くなりました」
患者さんが切れた隙を狙って診療室にお邪魔すると、デスクに向かっていた市來先生はチラリと振り返り「おー、まだ居たんだ」なんて言う。
お昼はランチを中断させてまで呼びつけたのに、こんな風に言われて戸惑ってしまった。
「もう帰ったかと思ってた」
「そんな勝手に帰らないですよ」
「あっそう。で、ときめいてきたのか?」
「……へっ⁈」
横から市來先生のツッコミが入り、開いた手元のファイルから慌てて視線を戻した。
「なんですか、ときめくって!」
「お前が撃沈した奴って、さっきのだろ?」
どうしてそれを知っているのか。
ズバリ言い当てられて、動きが完全に止まってしまう。
あの酔って話した席で、そんなに詳しく話したのだろうか?
さっきのあの場で、市來先生があれが椎名先生だと判断するには、それなりの手がかりがないと不可能なはずだ。