【医者恋シリーズ3】エリート外科医の蜜甘求愛


私は一体どうしたのだろう。

確かに、椎名先生にはフラれて、もう吹っ切ろうとこの数週間で自分の中で終止符を打った。

だけど、椎名先生の方から歩み寄ってきてくれているこの状況に、終わった恋だとしても、普通ならまたときめき始めてもいいものだ。

望んでいたことが起きそうな予感がするのに、全く嬉しいと思えない。

それは、もう椎名先生のことを自分の中で終わらせたから?

デスクの傍らに置いた仕事の分厚いファイル。

そこに繋がるウサギのマスコットが目に入る。


『そんなので嬉しいならいくらでも買ってくるけど』


これをくれた時にそう言って笑った市來先生を、少し時間が経った今でも鮮明に覚えている。

その時のことを思い出すと、初めてバーで会った時からの市來先生のことが次々と蘇ってきた。

どうして今、全然喜べないのか。もやもやしてしまっているのか。

その理由に気が付くと、鼓動が早鐘のように打ち始めた。

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