王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~


 熱の篭る水色の瞳に、私の内側まで、全て見透かされてしまうかのような錯覚。

 頭が、くらくらした。五感の全てがフレデリック様に支配され、まともな思考もままならない。
 熱に浮かされたように、ふわふわとしていた。

「ほら、エミリー?」

 再び、桃が差し出される。私はその桃に、引き寄せられるように唇を寄せる。

 そうしてまた、フレデリック様の手ずから桃を頬張った。
 きっと、この時の私はまともじゃなかった。けれど、フレデリック様もまた、どこか正気を逸していた。

 私達は甘く濃密な桃の香りに惑わされ、非日常を揺蕩っていたのかもしれない。私達は餌付けのようなこの行為を、幾度か繰り返した。

 そうして差し出された最後のひと切れを、フレデリック様の指に滴る果汁ごと含む。桃だけを口内に残し、指を舐め上げて解放させる。



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