王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
「……口元に、果汁が零れていた」
「っ!!」
低く告げられた言葉。温もりの正体に思い至り、羞恥にカッと頬が染まる。
鼓動が、胸を突き破りそうなほど速く煩く刻む。
まるで逆上せたようになって、返答もままならない。
「夕食には、また何か食べやすそうなものを見繕おう。それまで少し、休むといい」
フレデリック様は、答えられずにいる私に、笑みを深くして告げる。そうして私の胸に優しい笑みの残像と、多くの困惑を残して部屋を後にした。
一人残された私は、扉が閉まると同時に、へなへなと寝台に沈み込んだ。
間違いなく、熱が上がっていた。ただしこの熱が足の裂傷を原因とせず、心に起因している事は明白だった。
……だめだ。
頭が、くらくらする。