担当の営業社員は傲慢でした。【短編】
「いてっ、やめろって!」

「あんたなんてこっちから願い下げよ!」

精一杯の強がりを云って、渾身の力で武に枕を投げつけた。
そのままベッドを飛び降り、その辺に散らばっていた服を着る。

「なに……?」

「帰るっ!」

武の家を出てそのまま歩く。
終電はもう終わった時間。
三つ先のJRの駅は遠いが、いまの私には歩いて帰るのにちょうどいい気がする。

カツカツと威勢よくかかとの音を響かせながら夜の街を歩く。

……わかってたよ、なんとなく。
終わりが近いこと。

でもさ、ヤったあとで云うことじゃないのよね?
なんかそういうのって、私はただ、それだけが目的の女みたいじゃん。

あーあ、せっかく楽しいことだって、ドキドキしたことだってあったのに。
これじゃ、全部最悪な思い出になっちゃうよ。
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