担当の営業社員は傲慢でした。【短編】
……別れ、ちゃったんだよね、武と。
私はまだ、好き、だったんだけどな。

ぽつぽつと水滴が水面に落ちていく。
きっとこれはやっぱり、髪の毛から落ちる滴、だ。


武と別れた現実と向き合えないまま、月曜日。
コンコン、硝子を叩く音にあたりを見渡すと、長身の眼鏡の男――あいつが喫煙コーナーで煙草を吸っていた。

「おはよう、亀。
おまえ、俺に断りなく三連休とか取ったくせにひっでー顔してんな」

あいつが私を“亀”って呼ぶのがまず嫌い。
それに今日は、私の顔を見てにやにや笑うから、思いっきり睨み付けてやった。

「……誰のせいだと」

「ん?
なんか云ったか?」

最後の一口を吸って灰皿で揉み消すと、あいつが喫煙コーナーから出てくる。
手には会議の資料。
煙草を吸う間すら仕事に当てないと追いつかないあいつ。
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