恋人未満のこじらせ愛
そして十三日の深夜─日付が変わって十四日の深夜零時。私達は二人の後をつけた。
映画のレイトショーが終わって居酒屋に入っていくのを確認し、目の前のカフェの二階から二人が出てくるのを待った。

二人が出てくると、私達は即座に外に飛び出し追いかける。
まだ捕まえるのは早い。


二人は歓楽街の奥へ……ホテル街へと歩いていく。
やがて一軒のホテルの前で立ち止まると、中へ入ろうとする。

『今だ』と言わんばかりに私達は駆け足で近寄る。


そして毛塚先輩の肩を叩くと─振り返り、みるみる表情が青ざめていく。
それは亜弥子先輩も同様で、二人は顔面蒼白のまま私達を見つめていた。



「先輩。私達は全部知ってるの。
クリスマスイブに会っていたことも、先週も二人で泊まっていたことも。
別れましょう?明日そう切り出す予定だったでしょ?二人でお幸せに」

ただそう言い吐き捨てると、私は回れ右をして歩いていく。
ただひたすら、真っ直ぐに歩いていく。



「菅原、待て」
突き当たりの角を曲がると、大村先輩が私の手を取った。

「泣くなよ…って仕方ないか」

さっきの角を曲がった頃から、私からとめどなく涙が溢れていた。
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