三途の川のお茶屋さん
神威様が俺に、好々爺とした笑みを向ける。
しかし直後、笑みは一転して険しく、引き締まったそれへと変わる。
「しかし十夜、あの娘をこのまま捨て置く事は、状況が許さなくなった。儂も実際に会うてみて分かった。あれは只人ではない。あれは我らと同じ、神の系譜に連なる者ぞ? あれは古の、我らの始祖に近い血を持つ女神ぞ」
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予感はあった。けれどそれを神威様に指摘されれば、ストンと胸に落ちてきた。
「女神がいかに稀な存在か、其方とて知っておろう? 幸子は然るべき男神と番わせる事になろう。どちらにせよ中央で預かる必要が出てきたのだ」
承諾できる訳がなかった。
悟志という男の亡霊にすら、醜い嫉妬の炎を燃やす俺だ。
幸子が別の男と番うなど、容認できるはずもなかった。
「神威様、受け入れられません。たとえ神威様の申し出でも、幸子を預ける事は、容認出来ません」